新興国通貨が人気の理由

いまFX投資家に新興国通貨が人気だ

いま新興国通貨である人民元、トルコリラ、ブラジルレアル、インドルピーがFX投資家に人気だ。あおの背景には高金利であることがあげられる。しかし、米国、ユーロの崩壊により為替レートは下落している。その理由は先進国の景気低迷にあり、新興国通貨自体の信用不安ではない。対ドルで年3〜8%上昇継続。資金流入の動きは今後も不変であることが予想される。FX初心者にはおすすめできない通貨でもある。

 

新興国のイメージ

新興国通貨が下落している理由

このところ新興国通貨の為替相場変動か激しい。米国を中心とする世界経済の先行き不透明感、欧州債務問題が遅々として解決に向かっていないことなどから投資家のリスク回避姿勢が強まり、新興国通貨や資源国通貨など、いわゆる「リスク通貨」が大幅に下落している。これらの通貨およびその背後にある株式市場、債券市場などから、国際金融資本市場における「現金」としての役割を果たすドルヘと、資金が回帰しているためだ。

 

ここで重要なのは、新興国そのものに問題があって足元で急速な通貨安が発生したわけではないとい弓点である。むしろ先進国サイドの景気低迷や超金融緩和、債務問題、金融機関の信用不安などの問題に新興国が翻弄されているのが現状だ。極端にいえば、新興国市場が、先進国市場の混乱に際して、いわゆる資金の逃避地・避難地となってもよいほどである。

 

もちろん、新興国が内需拡大・自律成長の色合いを強めたとしても、先進国の景気低迷の影響は逃れえない。しかし、中長期的なファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に底堅さを次第に身につけてきているのが大きな流れだ。新興国市場・通貨の魅力は色あせず、紆余曲折がありながらも今後も堅調に推移していくだろう。

変化する立ち位置 00〜03年が転換点

振り返れば、1980年代の新興国、特にメキシコやアルゼンチンなど中南米諸国は経常収支悪化による混乱に直面していた。危機は常に経常収支悪化、対外債務の拡大によって発生した。しかし、90年代後半にアジアなどで発生した危機は、一気に資本が流出するいわば資本収支型である。新興国は生産拠点としての実力を蓄え、またその過程で投資の機会に満ちていた。また、為替相場を基軸通貨であるドルにペッグする(ドルに対する固定相場を採用する)国が多く、海外からは投資しやすかった面もある。

 

今では考えにくいことだが、為替相場が固定されているにもかかわらず金利差が存在すれば、投機筋にとって格好の投資先となる。そうした環境が、短期資金の流入やバブルの形成、経常収支の悪化を経て、歪みの累積から一気に資金流出による通貨危機をもたらした。企業にたとえれば、経常収支型危機が「赤字倒産」とすれば、資本収支型危機は「資金繰り倒産」とでもいえよう。資金繰りさえつけば立ち直りは早い。

 

しかし2000年代初頭のITバブル崩壊から以降、新興国の立ち位置は次第に変化した。ブラジル、ロシア、インド、中国を表す「BRICS」という言葉が初めて登場したのが01年。広大な国土や豊かな資源、人口大国がキーワードだった。生産拠点としての新興国は先進国経済の波をまともに被り、景気の振幅も先進国よI激しくなっていた。しかし内需拡大によるぽ律成長の比率が高まると、先進国からの影響度合いも幾分低下し、高成長による魅力ともどもこれら地域への分散投資の意味をなしてきた。

 

新興国通貨は90年代後半まで、まだ不安定な経済基盤のなか、長年にわたるドルに対する固定相場制により蓄積した歪みが噴出するなど脆弱だった。それが上昇方向へと変わる転換点となったのは、おおむね00〜03年にかけての世界的な株価下落で底値をつけた局面だ。'通貨によるものの、その後現在まで平均すれば年3〜8%程度のペースで対ドルでの上昇基調を続け、通貨危機や急落はリーマンーショック(08年)を除いてはさほど生じていない。

 

また、新興国の内需拡大は商品価格のコンスタントな上昇をもたらし、新興国通貨の底堅さにつながってきた。こうした流れは今後も中長期的に続くだろう。新興国通貨の混乱が資本収支型になっていること、しかもその要因が先進国ないしグローバル要因に変化していることを踏まえれば、中長期的な新興国の安定感、資金流入の動きは不変と考えられる。

今後の外国為替市場では、ユーロの買い戻しがすすみそうだ。「ギリシャがデフォルトしても、欧州の金融システムは大丈夫だ」との安心感を市場に植えつけるためのスキームが論じられ、進められることになるだろう。そして、そのスキームが整うまでの間は、とりあえずギリシャの破たんを先延ばしさせるような策が取られるのではないか。ギリシャから欧州金融システムへ、防御の焦点が変化してきたように思われる。FX投資家の方はユーロ高にのっていきたいところだ。